ハッチェル特急楽團
2006-10-05


 電車でたまに床が汚れている車両に出くわしたりする。「うわ、厭だな」と思い離れた場所に移ることはあるだろうが、「おい、ここ来て見ろよ」と仲間を呼んでわざわざ踏ませてみたり、「なんかベタベタすんだろー」だなんて騒いだりというのは、まるでコドモがすることだし普通の大人はしない。

 そういうことをしたりする数少ない知り合いがいて、それがタケリコ・タケーニその人である。

 なにせ自称「プロの酔っ払い」であるからしてそれ位は当たり前なのだが、私は幸か不幸かなぜか至って礼儀正しい状態のタケリコ氏しか知らないのである。卑怯だなと思うのは、彼が銀行員や商社マンでないところである。なにせ彼は絵描きでミュージシャンなのだ。パリで街娼を買おうが、朝方不細工カップルに「ブスだなーッ」と罵声を浴びせようが、それも絵になってしまうのである。しかも妻帯者。ある種「酔っ払いのエリート。選りすぐりの酔っ払い」と呼んで良い。「血筋が良い酔っ払い」という言い方すらできる。

 そこへいくと私なんぞは酔っ払いの劣等生だ。普通のサラリーマンだし子供もいるし住宅ローンも抱えている。みっともない! しかも、そういう人の連れ合いは普通「飲み過ぎには注意してくださいね」位の言い様だろうが、私がある朝に妻から受けたメールには「飲み過ぎは“勘弁してください”」と書かれていた。全く劣等生である。

 そのタケリコ・タケーニ氏の参加する「ハッチェル特急楽團」の新譜が出た。彼らの提唱する「ワイド音楽」というカテゴリーを理解する程には音楽全般の造詣のない私だが、それがいかに馬鹿馬鹿しく楽しげな音楽かは実感できる。ビールを浴びながら「おい酷ぇーな」とか賛辞を述べそうである。少なくとも仕事中に聴いては駄目。

 ところで、小官のことを「ナチの旦那」と呼ぶ彼は私の本名を知らないかも知れないが、よく考えたら私も彼の名前を知らない。なぜなら2人とも酒場の酔っ払いだからだ。ともあれタケリコ・タケーニ、万歳!

♪ハッチェル特急楽團

禺画像]
CD付き「特急新聞」第弐号。同じレイアウトが連続するという、エディトリアル界に一石を投じるアバンギャルドな構成に息をのみ、「ゴロツキ日記」が2本載っていることでタケリコ氏の何と絶倫なことよと驚き、それが乱丁とはついぞ気がつきませんでした。2,000円ポッキリ。BAR BLACK LUNGでも販売中。これ1枚でタケさんのツケがビール約3杯分清算される。

[LINK] (禺画像])

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